犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

常に最適な手続を選択しながら、不動産の明渡しを実現し、さらに滞納賃料の大部分の取立をしました。

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中谷 寛也 弁護士が解決
所属事務所桑田・中谷法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

都内の大家さんからのご相談です。マンションの一室を貸しているが、何年か前から賃料の滞納をはじめるようになり、口では支払うと言いながら実際には払ったり払わなかったりで滞納が徐々に増えていき、ついに半年分ほど家賃を滞納されてしまったので、賃借人を追い出したいというご依頼でした。また、連帯保証人がついているので、本人と連帯保証人に賃料等を請求したいということでした。

解決への流れ

すぐに裁判所に訴状を提出して裁判を起こしたところ、連帯保証人は欠席したのですぐに判決(被告が欠席すると、こちらの勝訴判決をもらえます)にしてもらいましたが、本人は出席してきて、必ず払うのでまだ部屋を使わせてほしいとのことでした。依頼者としても、分割でもきちんと払ってくれれば良いということだったので、滞納賃料の分割金と、新たに発生する家賃を支払う限りはいても良い、そのかわり、一度でも滞納したらすぐに明け渡さなければならないという、厳しめの条件をつけて和解をしました。その後、半年ほどはなんとか分割金を支払い、滞納分も解消に向かっていたのですが、やはりまた滞納してしまいました。依頼者も、もうこれ以上は付き合えないということで、ついに和解調書に基づいて強制執行を申し立てました。すぐに執行官に督促に行ってもらい、強制執行の日が決まりましたが、相手は実際に強制執行の直前まで、いろいろと文句を言っていました。もっとも、ようやく観念したようで、強制執行の5日ほど前に、ようやく自分から明渡しをしました。その後、まだ残っている賃料について、本人は財産がなさそうだったので、連帯保証人に対する判決に基づいて、その人の預金(あるかどうかはわかりませんでしたが、おそらくあるだろうと予想して)を差し押さえてみました。幸いにも、預金自体はありましたが、定期預金であるため、実際にお金として引き出すのにまだ3年ほどかかるとのことでした。すると、連帯保証人の財産を差し押さえたことで、ようやく本人も重大性がわかったようで、すぐに支払うので少し負けてほしいという交渉をもちかけてきて、依頼者も早期に解決できるならということで若干の譲歩をし、実際にすぐに滞納賃料の残額のほぼ全額を支払ってもらって和解し、差押は取り下げました。最終的に見れば、明渡しも比較的スムーズにいって、かつ賃料はほぼ全額を回収して、依頼者の方にもご満足をいただきました。

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中谷 寛也 弁護士からのコメント

不動産の明渡しは、何よりもスピードが肝腎です。通常は、1ヶ月の家賃を支払えなくなった賃借人は、2ヶ月分・3ヶ月分という家賃はもっと支払えないですから、対処が一日遅れれば一日分の賃料を損してしまうことになります。ただその一方、賃借人が「支払う」と言っていて、実際に支払われて滞納が少しずつでも解消されるのであれば、大家さんにとってはメリットが大きいです。このように、不動産の明渡しの事案は、そのときの状況によって、どのような手続を選択したら良いかの判断が難しい事案といえます。本件は、依頼者のご希望をベースにして、相手方の要望や現状を踏まえ、裁判をするのか交渉をするのか、また判決をもらうか和解をするか、強制執行あるいは差押をするかこれを取り下げるかという、各場面で適切な選択をしたことが、最終的に依頼者にベストな形での解決に導くことができたものと考えています。全ての事案でこのようにうまくいくわけではなく、特に滞納賃料の請求については、最終的に回収できないことも良くありますが、依頼者の方に、なんとかベストを尽くしたと思ってもらえるよう、なるべく多くの回収に向けて努力していきたいと思っています。